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工房SUZUGINの鈴木三男さんに職人のこだわりと、
シーリングスタンプについて語って頂きました。 |
Q 仕事の内容とシーリングスタンプを作るようになった
経緯ついてまず聞かせてください。
自動車の町、愛知県に工房を開いて17年
当初数年間は金、銀、プラチナ製品の製作がメインでしたが
その後シーリングスタンプを作れないか?
と頼まれ作ったところ好評で噂が口コミで広がり
ネット受注も始める様になりました。
その頃は、フルオーダーの製作を請けるところは
国内に私以外にはほとんど無く、数多くのご注文を頂きました。
それからの仕事の大半はシーリングスタンプの製作となりました。
Q 宝飾の技術があればシーリングスタンプは
簡単にできたのですか?
確かに加工する技術面では案外問題なく出来ましたが
デザインと加工する深さの関係で悩みました。
Q 加工する深さとは?
皆さんが日常よくお使いになる印鑑など、
平面の印章では、押してできる印影と印章面の溝の深さに、
直接の関係はありません。
彫った部分にインクがのらないだけですから。
しかし、シーリングスタンプの場合は
彫った溝の深さが出来上がる印影に大きく影響します。
Q なるほど。
凹凸が少ないと貧弱になります、印影がはっきりしない訳です。
反対に大きな凹凸を作ると印影にインパクトが生まれます。
ですからどうしても深彫りがしたい訳です。
でも深ければ深いほど良いというわけでもないんですよ。
押したワックスの凸部はスタンプ面の型からいうと
溝になるのであまり深い溝はスタンプを押したときに
溝の空気の逃げ場が無くワックスが細部まで行き渡りません。
ワックスが行き渡らなければ、デザインが欠けてしまいます。
運良く綺麗に押せることがあっても、難しすぎるスタンプは
単に扱いにくい商品ということになってしまいます。
Q それは困りますね。
私が押せてもお客様が押せなくては意味がないのです。
お客様の使用されるワックスの種類や溶解温度や
その他の違いがあっても押せる様にしたいのです。
ですが、最初の頃はとにかく何が何でもやみくもに
深彫りがしたかった。だからつい限界を超えて深彫りしてしまう。
Q そうしたらどうします?
彫ってしまったものはどうしようもないですから作り直します。
Q 浅く作り直すわけですか?
ええ、でもどうしても深彫りをしたいので、
前よりほんの少しだけ浅くします。
Q と、どうなります。
まただめです。
Q 又やり直しですか!!
そうです。そうやっているうちに気が付いたら段々に浅くなってゆくスタンプが目の前に5個あったという事がありました。
始めた頃の試行錯誤のエピソードです。
今ではこんな事はありません。
お客様との約束の日に間に合ってホッとしました。
細かなデザインには深彫りをしないのが基本的なスタンスですが、
やはり立体感のある印影を追求していますので、
多少細い線でも深く彫れそうな場合は、
出来るかぎり彫り込みます。『この線の太さにはこの深さ』と
言った単純なものではありません。例えば、平らな何も無い所に
点が1つしかないデザインがあるとします。
これは、かなり点が大きくても案外入りにくかったりするのです。
デザインの細かさと彫り込める深さのバランスは大変難しく
その他にも、ここでは言い尽くせないほど複雑な関係があります。
Q その関係は、単純なものではないんですね。
実は以前、宝飾の仕事でゴム製の型にロウを流す仕事していました。同型のアクセサリー等を複数個制作する時、ロウで原型をコピーするのです。その時も同じ様な問題に突き当たった事が有ります。やはり、細かな部分にロウが入ったり、入らなかったりすることがあり、この事と少し似ていると感じています。
Q それでも作ってしまうまで分からないんですね。
はい、今でも勉強中だと考えています。
ですから私は出荷前には必ず全て試し押しをします。
これは創業以来欠かしません。時には数種類のワックスで試します
3000本以上製作していますので数万回の押した事になります。
日本一シーリングスタンプを押した人間ではないでしょうか(笑)昔の様にやり直してばかりはいませんが
それでも新しい発見があるんですよ。楽しいですよ。
それにここで私が苦労して押すようでは駄目なんですよ。
かんたんに押せなければ、
扱いやすい商品に仕上がってる訳無いですから。
お客様がどんな感じで押すのかな〜って想像しながら。
一番楽しい時間です。
Q そうですか。
私も既製品のスタンプを持っていて時々使っています。
シーリングスタンプは普通のハンコと違って、
押すのに少しテクニックが必要ですよね。
だから綺麗に押せたときにはすごく嬉しいんですよ。
そうそう、でも時々押したワックスがスタンプ面に
しっかりとくっついて離れなくて困ることがあるんですが
これは何がいけないのでしょう?
基本的にはスタンプ面を冷却すればくっつきにくくなります。
連続して押す時には濡れたタオルをよく絞ってスタンプ面を冷やしながら押す方法も有ります。
取扱商品に離型材がありますのでお勧めします。ですが正直私が作った商品には必要ありません。既製品等でお困りの方にお勧めです。
SUZUGINのシーリングスタンプは
スタンプ部も現在は以前よりも更に改善され重厚な肉厚(12mm)あります。これも冷却の効果がありくっつきにくくなっています。
ですが逆に細かなデザインを押す場合ワックスの種類や季節によってはドライヤー等であえてスタンプ面をほんの僅かですが温めることもあります。その場合肉厚がうまい具合に保温効果となります。でも温めれば通常くっつき易くなります。
これも当初はあれこれと悩み、最新の設備のある工場にお願いして切削で作ってもらったこともありましたが満足できず、結局たどり着いたのが古くからある伝統的な技法でした。
それに少し応用を加えると工場で切削してもらったものに比べ
型ばなれが良くなることでした。また切削痕が一切残らない上かなり細い線も加工出来るのです。
Q 他にこだわりは有りますか?
スタンプ面の肉厚にわずかなテーパーがついているのも型離れのためです。手間は掛かりますが私は古くからの技法にこだわります。
作品例をご覧頂いても押したスタンプに温かみが感じて頂けると思います。これは、こだわりのが技法が無関係ではないのです。スタンプ部は外注することなくこだわりを持って加工します。そのため、完成までお待たせしてご迷惑をお掛けいたしますが、
よろしくお願いします。

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